福岡子どもホスピスプロジェクト

福岡子どもホスピスプロジェクト

関連講演等

第45回日本看護学会-ヘルスプロモーション-学術集会 交流集会Ⅲ「重い病気や障がいのある子どものヘルスプロモーションを考える~福岡子どもホスピスプロジェクトの実践活動をとおして~」 
2014.8.29. 熊本県立劇場

日本看護学会-ヘルスプロモーション-学術集会「火の国発、健康な社会の創造~つかむ!すべての人々の健康を、つながる!看護の力で」において、重い病気や障がいがあっても子どもと家族を社会で支えていくこと、重い病気や障がいのある子どもと家族の「ヘルスプロモーション」について考える交流集会を開催しました(京極新治、山下郁代、濵田裕子、藤田紋佳)。

京極からは、重い病気や障がいのある子どもの訪問診療から見えてきた現状と課題、レスパイトケアの可能性について、山下からは小児の訪問看護の実際と看護師の役割について、濵田からはこれらを繋ぐ活動の取り組みとヘルスプロモーションとしての意味について話題提供を行いました。参加者はNICUや小児科など現場の看護師や助産師が多く、病院での課題が共有され、その中でできることは何かなど、意見交換をとおして考える機会となりました。

第11回日本小児がん看護学会 特別講演「The Essence of Caring in Pediatric Palliative Care」演者;Sister Frances Dominica,2013.11.30,ヒルトン福岡シーホーク

第11回日本小児がん看護学会を福岡で開催させて頂く機会を得て、ぜひ世界で最初の子どもホスピスの創設者であるシスター・フランシス・ドミニカ氏を招聘したいと思い、その願いがかないました。彼女の子どもホスピスの創設から現在に至るまでの歩みは、進歩し続ける医療の中にあっても変わることのない「ケアの本質」であり、私たち医療者が忘れてはならない核であり、そのことをお話し頂きたいと思いました。

シスター・フランシスは、ヘレン&ダグラスハウスの30年の歩みとその実践を通して、「小児緩和ケアの本質」についてご講演下さいました。小児看護師から、女性修道院長、ヘレンハウスの創設者というシスター・フランシスの歩みの中で、実践を通して見出したケアについての思いや考えなど、語られる言葉それ自体が貴重であり、子どもと家族に関わるすべての関係者にとってのメッセージとなりました。400人の会場もほぼ埋まり、医師やコメディカルの参加も多く、大変好評でした。

第55回小児・血液がん学会&第11回日本小児がん看護学会 合同特別企画

「日本における子どもホスピスの可能性と方向性を探る」2013.11.30ヒルトン福岡シーホーク:
子どもホスピスの動きは端緒についたばかりの日本で、これまでの医療の枠組みを解き、LTC(生命が脅かされる状態)という概念で、子どもの「いのち」や「生活」そのものに視点を転換し、子どもと家族を中心にしたトータルケアや子どもホスピスの可能性について考えた企画。濱田は座長の一人として、京極はシンポジストの一人として参加した。

シンポジストとして緩和ケア小児科医や小児がん専門医、小児在宅診療医、小児看護専門看護師、難病児のキャンプに関わる立場の5名が、それぞれの専門や現場における実践を振り返り、子どもホスピスの可能性についてディスカッションした。子どもホスピスの対象となるLTCのお子さんは、小児がんの領域と先天奇形や重度障がいをもつお子さんと、これまで、治療やケアにあたる専門職は領域が全く異なり、専門家同士の接点もなかったが、子どもと家族を中心に考えると、病院での治療やケア、家族生活を中心にした在宅ケア、すべてが小児緩和ケアであり、子どもと家族を中心にその生活を協働して支えることの重要性を共有した。最後に世界最初の子どもホスピスの創設者であるシスター・フランシス・ドミニカ氏から、子どもと家族の視点からケアしていくことへの思いについてコメントされ、400名近い参加者が重い病気や障がいのある子どもと家族のケアについて考えるひと時となった。

第23回日本外来小児科学会ワークショップ「地域に根ざした子どもホスピスの創造-外来小児科との連携の可能性を探る」2013.8.31 福岡国際会議場

プロジェクトリーダー:濵田裕子、サブリーダー:京極新治(小さな診療所)、中山英樹(桜坂なかやまこどもクリニック院長)濵田と京極、中山氏とともに、小児緩和ケア、子どもホスピスについての話題提供を行い、重い病気や障がいを抱えた子どもと家族を地域で支える仕組みをつくるために小児科医や様々な職種との協働や連携の可能性について議論した。

WS参加者は、クリニックや在宅診療に関わる医師や看護師、保育士、ソーシャルワーカー、事務職など多彩であった。

在宅療養に関わる医師からは、子どもホスピスの必要性を実感しているが、地域特性の中でそれが受け入れられるには時間がかかるため、小児在宅医療ネットワークの構築を行っていることなどが紹介された。多くの難病児の在宅診療やケアを行っている施設からは、在宅での看取りの事例も紹介され、チームでケアを行っていくことの必要性が共有された。あるクリニックの医師からは、「子どもホスピス」は、究極的には重い病気や障がいのある子どもとその家族が社会の中でどう生きていくか、社会全体でどう支えていくかというテーマであるとの感想が述べられた。また、クリニックで看護師として働く女性は、かつて幼い時に病気できょうだいを亡くした体験を語り、その悲しみとともに生きる母親の姿をそばで見てきた経験から、「当時、子どもホスピスがあったら、兄も母もどんなに救われただろう」と言い、子どもホスピスへの期待を述べられた。

これらのディスカッションを通して、クリニックや在宅、病院など、場は異なっても、重い病気や障がいのある子どもとその家族を中心に、場所や職種を超えて専門職自らが、子どもと家族を主体にした医療やケアを考え、積極的につながっていくことの必要性が確認された。また「子どもホスピス」という選択肢は、特に重い病気や障がいのある子どもとその家族の生活やいのちを支えるために重要であると共有された。